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アタカマ砂漠を代表する花:パタ・デ・グアナコ

アタカマ砂漠に現れる奇跡の花園

エルニーニョ現象が出現する数年に一度わずか10日間ほど、チリのアタカマ砂漠は地平線まで花に覆われる。この奇跡のような絶景を想像できるだろうか。上空から砂漠を見下ろせば、砂漠が紫色に輝くほどだ。

世界には人智を超えたとてつもないスケールの生命の風景があり、私たち人間はじつは世界の表面のほんのわずかなことしか認識していないのかもしれない。

世界で最も乾燥したアタカマ砂漠は死の砂漠そのものだが、その砂漠にとてつもない量の生命が溢れ出る。いったいこれらの生命はどこから湧くように出現して来たものなのか、私たちにとって世界の理は奇跡そのもので、それは想像力という翼を与えてくれる。
ある人はその掴み切れない世界の理を「神」と呼ぶのだろう

アタカマ砂漠を代表する花:パタ・デ・グアナコ

砂漠を紫色に染める花は、スベリヒユ科の「パタ・デ・グアナコ」だ。これは現地でのスペイン語の俗名で「グアナコの足」を意味する。葉の形がラクダ科のグアナコの足に似ていることから呼ばれるようになった。グアナコは南米の乾燥した砂漠地帯に生息するラクダで、アンデス高原に生息するリャマやアルパカ、ビクーニャの近縁だ。

砂漠に花を咲かせる源は、エルニーニョ現象により太平洋から流されてきた霧だ。このわずかな水分が少しずつ地中に眠る種に蓄積することで、ある日一斉に目を出す。種はまさに生命のカプセルなのだ。
一度目を出すと、その勢いはとてつもなく早く、わずか数週間で花を咲かせる。葉を大きくする時間もないほどに一気に茎を伸ばすので、花ばかりが目立つ独特な均整で風に揺れている。

このとき、蝶もまた大発生する。3年4年と花が咲かない間、これらの生命はどのように生きながらえていたのか不思議でならない。わずか10日間の開花に合わせて、幼生から成虫の蝶へと変身して花園とともに昇華する。花園が消えるときには、彼らもまた命を終えて次世代に繋ぐ。世界でも特異な自然現象に合わせて、花や蝶もまた独特の進化を遂げたのだ。

アタカマ砂漠の花園が「パタ・デ・グアナコ」で埋め尽くされる時、空気そのものの成分も少し異なることに気づくだろう。これはとても直感的なものだが、途方も無い量の花は大気の成分をほんのわずかだけ変化させていると思う。それはとても微細なものだが体はきっとそれを感じている。希望のような予感だが、実際に花園で大きく深呼吸してみれば、きっと大気に満ちた何かを感じることができるだろう

◎学名: Cistanthe grandiflora(スベリヒユ科 :Montiaceae)

関連ページ:アタカマ砂漠の花園

黎明の富士山を大岳山から望む:東京・御岳

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