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マチュピチュ遺跡を巡る⑤:段々畑「アンデネス」が象徴するインカの農耕技術

アンデス諸文明の知恵の結晶「アンデネス」とは

マチュピチュ遺跡の周囲に連なる段々畑は「アンデネス」と呼ばれます。テラス状の農地で、山岳地帯で発展したアンデス諸文明の知恵の結晶と言えるでしょう。
マチュピチュ遺跡は都市部とは隔絶した環境にあったので、このアンデネスで農耕をすることで自給していたと思われます。

驚くべきは、アンデネスの規模です。マチュピチュ遺跡の主要部を囲むだけではなく、谷底まで隈なく段々畑が続くのです。標高差は約400mあり、まだ大半の段々畑は密林に埋もれているので、全てを発掘するには何十年もかかることでしょう。

マチュピチュ遺跡の東側・西側それぞれの斜面を埋めつくす段々畑の斜度は平均40度以上もあります。私も西斜面にある段々畑の階段を少し登り下りたことがありますが、両手を使わないと怖いほどでした。

この高度差による環境の差を利用して、様々な農作物が栽培されていたのです。

古代に遡るアンデネスの歴史


アンデス山脈の多くの遺跡にある「アンデネス」は、インカよりはるか以前の紀元前6世紀頃にチチカカ湖沿岸に登場したと言われます。
テラス状の農地は、山岳地帯の斜面で水を保水しながらも、下部のテラスに徐々に水を流すことで、水の反復利用もすることで、生産能力を飛躍的に上げることになりました。インカ帝国の最盛期には人口は1600万人いたと言われますが、その人口を支える食料生産にアンデネスは重要な役割を担いました。

このアンデネスで栽培される作物は、最初の時代は宗教的な儀礼に必要な作物のためにトウモロコシの栽培から始まったと考えられています。トウモロコシからは祭礼用の酒・チチャが作られるからです。

その後、その土地の気候や標高に合わせて様々な作物が栽培されるようになります。一番有名なのは、農業試験場跡と言われるモライ遺跡でしょう。
チチカカ湖のインカ発祥の地「太陽の島」や、タキーレ島、アマンタニ島など、食料の自給が不可欠な離島では、島全体が段々畑に覆われていて、今も現役で使用されています。
マチュピチュ遺跡へ続くインカ道でも、中継の各遺跡には大規模なアンデネスが連なっていることから、各遺跡で食料が自給されていたことが分かります。

現代で見直されるアンデネス


ペルーやボリビアのアンデスでは今も多くのアンデネスが現役で使用されています。祖先から何代にも受け継いだ畑ですが、今はその多くが放棄されているのも事実です。
アンデネスは食料を生産する機能だけではなく、洪水を防止する治水機能もあることから、いまアンデネスを再生する動きも各地で生まれています。

マチュピチュ遺跡を巡る:各スポットを細かく解説






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