Loading

PHOTO-BLOG

チリ・アタカマ砂漠の奇跡の花園

アタカマ砂漠に訪れる奇跡

3~4年に一度わずか10日間ほどだけ、チリのアタカマ砂漠は地平線まで花で覆われます。その規模は、上空を通過する飛行機から見下ろすと、砂漠が紫色に輝いているほどです。

想像を超えるスケールの花畑がほんの一瞬だけ出現するのです

奇跡のような現象はなぜ起こるのでしょうか。

普段は荒涼とした砂漠のアタカマ砂漠は、世界で最も乾燥した場所の一つです。もし普段の砂漠を見ていれば、そこが地平線まで花で覆われることを、なおさら信じられないでしょう

奇跡の花園の仕組み

この砂漠の特異な現象には、「エルニーニョ現象」が大きく影響しています。アタカマ砂漠が接する太平洋は、エルニーニョ現象が発生する海域として有名です。3~4年に一度、エルニーニョ現象が発生するとき、海水温が上昇します。この海水温の上昇は、太平洋岸に濃霧を発生させます。
この太平洋岸の濃霧は、ペルー沿岸では「ガルーア」、アタカマ周辺では「パチャマンカ」と呼ばれます。

濃霧は砂漠に水分をもたらし、時に雨を降らせます。雨は、砂漠に蓄積されている膨大な種子に発芽の小さなサインとなります。といっても、雨が降ればすぐに発芽するわけではありません。

継続的に雨が降り、地面に必要な水分が溜まった時に、初めて種子は発芽を始めます。何カ月もの水分の積み重ねの上で、種子はまるで示し合わせたかのように、ある日小さな芽を出します。それからは日々みるみる成長して、わずか2週間ほどで花を咲かせるほどのスピードで育ちます。

花が咲くまでの成長のスピードがあまりにも早いので、葉はまだ小さく、しかしたくさんの花を咲かせます。葉よりも花の表面積の方が大きいほどなので、より花の鮮やかさは砂漠で目立ち、花の色が埋め尽くすほどなのです

紫の花「パタ・デ・グアナコ」

この時、地平線まで砂漠を覆う花は主に紫色の花、スベリヒユ科の「パタ・デ・グアナコ」です。これは俗名で、スペイン語で“グアナコの足”を意味します。“グアナコ”とはラクダ科の一種で、アンデス高地に行けば、リャマやアルパカが親戚となります。学名は「Cistanthe grandiflora」です。

この花が地平線まで砂漠を埋め尽くし、眩しいほどに輝くわずか2週間、空から見下ろすと砂漠そのものが紫色に輝いています。

そんな奇跡のような現象を見てしまえば、地球のあまりにも深淵な謎に触れてみれば、きっと何かを考えてしまうでしょう。
奇跡のような絶景を見ることは、ただ驚嘆するだけではなく、世の中の見え方さえをも変えてしまうのだと思います

関連ページ:アタカマ砂漠の花園

関連ページ

アタカマ砂漠の花:ロシータ・デル・カンポ(アカネ科)... 「荒野の小さなバラ」を意味する「ロシータ・デル・カンポ」は、アタカマ砂漠の固有種の一つで、アカネ科の一年草です。 アタカマ砂漠に一斉に咲く花々はどれも可憐で儚げに揺れているものですが、「ロシータ・デル・カンポ」は特に小さく、その凛とした佇まいが目立つ花です。 砂漠を染めるような群生はして...
アタカマ砂漠の花:マルビーリャ(アオイ科)... 気候変動の象徴?アタカマ砂漠の花園 数年に一度わずか10日間だけ現れる「アタカマ砂漠の花園」は、その出現の回数は徐々に増えていると言われる。4・5年に一度の出現と言われた花園も、近年は2・3年に一度は出現する傾向にある。世界的な気象変動と連動するとも言われているが、そのメカニズムは今も謎に満ち...
アタカマ砂漠の花園 “デシエルト・フロリド”... チリ・アタカマ砂漠の花園 "デシエルト・フロリド" 世界で最も乾燥した砂漠と言われる“チリ・アタカマ砂漠”では、世界でも稀な奇跡が、約4年に一回だけ起こります。 わずか10日間ほどだけ、巨大な花園「デシエルト・フロリド」が現れるのです。英語では、フラワーリング・デザート呼ばれます。 ...
アタカマ砂漠を代表する花:パタ・デ・グアナコ... アタカマ砂漠に現れる奇跡の花園 エルニーニョ現象が出現する数年に一度わずか10日間ほど、チリのアタカマ砂漠は地平線まで花に覆われる。この奇跡のような絶景を想像できるだろうか。上空から砂漠を見下ろせば、砂漠が紫色に輝くほどだ。 世界には人智を超えたとてつもないスケールの生命の風景があり、私...
アタカマ砂漠の花:ススピロ(ナス科ノラナ)... ナス科ノラナ属「ススピロ」 アタカマ砂漠に広く自生するナス科ノラナ属のススピロは、高さ40~50cmに育ち、たくさんの花をつける多年草です。「ススピロ」はスペイン語で、「ため息」を意味します。ノラナ科の花言葉は「揺れる心」を意味することから、愛称としてこの花は「ススピロ」と呼ばれるようになった...
エルニーニョ現象:「アタカマの花園」と「ビクーニャ」への影響... 今年は“スーパー・エルニーニョ”とも呼ばれる強力なエルニーニョ現象に、世界中が翻弄されている。 エルニーニョとは、スペイン語で「El Niño」と書き、「神の子(=キリスト)」を意味する。 海水温の異常な上昇によって、ある地域では奇跡のような景観を生み出し、ある地域には災禍をもたらす...

《山岳写真》ブランカ山群・ワスカラン国立公園の名峰ワンツァン

薄明のパタゴニア・フィッツロイ峰:知覚できない領域へ

パタゴニア

関連記事

  1. 《特別企画》アコンカグア展望トレッキングとイースター島

    2017.06.13
  2. 南米最高峰「アコンカグア南壁」を望む展望トレッキング

    2017.07.23
  3. アタカマ砂漠の花:ロシータ・デル・カンポ(アカネ科)

    2018.12.24
  4. アタカマ高地縦断:ボリビア・ウユニ塩湖からチリ・サンペドロへ

    2019.02.15
  5. モアイの森から草原ハイキング – イースター島最高峰テレバカ山

    2018.05.12
  6. モアイが物語る小さな文明の歴史:イースター島

    2018.02.23
2019年6月
« 5月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

パタゴニア

最近の記事

アーカイブ

PAGE TOP