Loading

風景写真家・松井章のブログ

インカ文明の知恵の結晶:段々畑「アンデネス」とは

インカの段々畑「アンデネス」とは

アンデス山脈の遺跡の特長といえば、幾重にも連なる段々畑がすぐに思い出されるだろう。
この段々畑は、「アンデネス」と呼ばれる。

山の斜面を隅々まで使うかのように、インカ時代、そして前インカ時代の人々は、とてつもない執念でどこにでも畑を作ったのだ。

マチュピチュ遺跡を始め、インカトレイルの各遺跡、あるいはチチカカ湖など、この段々畑は南米の広大な面積に広がり、その多くが今も現役で使われている。南米のアンデス諸国に行けば、どこにでも目にする段々畑は、全て遺跡でもあるのだ。
畑を耕していたら、古代の遺物が掘り返されることは頻繁で、それらの意味は分からずに畑の石垣や階段に使われていたりする。古代遺跡と現代は溶けあうように繋がっていて、切り離すことはできない日常だが、その技術や意味は多くの人から既に失われたこともまた確かだ。

インカ文明の知恵の結晶

標高差で数百メートルに渡り、段々畑が上下に連なっている。この高低差は古代の人々の知恵でもある。一つの畑の面積は狭く維持管理に手間がかかるが、高低差による温度の違いを利用して様々な作物を栽培していた。

マチュピチュ遺跡を覆う段々畑(アンデネス)は、一番高い所では、マチュピチュのシンボルとして誰もが知る裏山・ワイナピチュ峰の山頂部まで続く。一番低い所は、まだジャングルに埋もれて発掘されていものの谷底まで続き、その標高差は約1500mに及ぶ。

一カ所に一つの作物を集約するのではなく、一カ所に様々な作物を収穫できるシステムにより、流通が途絶えても生き残ることができる。
この段々畑・アンデネスの構築により、アンデス山脈に隈なく、インカ系諸部族は拡散・発展をすることができた。
アンデスの古代文明の鍵は、段々畑・アンデネスにあるのだ。

季刊・会報誌「ポコ・ア・ポコ」第7号の見出し

パタゴニアの風と森:亜南極に順応した「南極ブナ」の繁栄

関連記事

  1. “天空の鏡”雨季のウユニ塩湖

    2012.08.01
  2. 南半球の天体:パタゴニアの星空を望む

    2019.04.03
  3. インスタグラムにて「南米のフォト・ギャラリー」開設

    2017.05.07
  4. オホーツクの流氷街道:網走から白鳥の湖へ

    2022.02.18
  5. パタゴニア/写真展「南米大陸の幻想風景」撮影エリア紹介①

    2021.03.13
  6. 新写真集「Ubiquitous」:辺境の幻想風景

    2023.01.15
パタゴニア
2024年7月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

最近の記事

アーカイブ

PAGE TOP