Loading

PHOTO-BLOG

パタゴニアの民族史② 牧場(エスタンシア)の開拓民

patagonia1 (13).JPG
パタゴニアを移動すると、道路の両脇に延々と有刺鉄線が張られているのがわかります。これは牧場の境界線です。細かく碁盤の目のように分割譲渡されたパタゴニアの大地はほとんどが私有地となり、有刺鉄線で分割されることになりました。地平線まで続く草原に、やはり延々と続く有刺鉄線の柵は、一見すると大自然であるパタゴニアの草原が、既に人の管理下にある事を意味します。
19世紀末から始まる大規模な開拓民の流入は、主にウェールズ系の移民から始まりました。その後、ヨーロッパ各地から移民が押し寄せます。かくて牧場や村により、同じヨーロッパ系でも民族が全然違うということになりました。マゼラン海峡の畔のある村は、ユーゴスラビア系の村です。村人はスペイン語を話しますが、文化はユーゴスラビアを継承しています。
このように羊毛ラッシュの時代に押し寄せた移民の中でイギリス人が多かったことは、後のフォークランド戦争に繋がることになります。人類の歴史から見ても、その土地に常駐した者が一番強く、時に開拓民は国家の侵略の先兵としてやって来ます。サンフランシスコやコロラドまで及んだメキシコの国土が、アメリカに浸食されていった過程も同じです。
羊毛景気の時代に財を築く牧場も現れました。チリ側のメネンデス家は、その代表的な家族です。広大な牧場を所有して、運営はガウチョに任せて、牧場主はブエノスアイレスに居住するというのが豊かな牧場の経営方法でした。低賃金で働くガウチョと貴族のような牧場主の生活、これがパタゴニアの一つの現実でした。どことなく哀愁を感じさせるガウチョの雰囲気は、そのような現実の中で、羊と厳しい自然を相手に暮らす彼らの生き方から現れるのでしょうか。
一方、ゼロから牧場を切り拓く多くの開拓民も現れます。彼らは、無人の荒野で一人あるいは夫婦で乗り込み、艱難辛苦とともに牧場経営を始めます。個性的な開拓民が現れ、中には詐欺師や革命家、強盗団なども乗り込み、過渡期のパタゴニアならではの賑やかな時代が始まったのです。
<つづく>
patagonia1 (21).JPG

関連ページ

パタゴニア南部氷床:氷河昆虫 「パタゴニア南部氷床」は、南緯48度から南緯51度、南北350キロに広がる巨大な氷原です。アルゼンチンとチリの国境が氷原を分断し、その面積は2,500㎢に渡ります。東京都の約1.2倍の大きさです。南部氷床からは無数の氷河が流れ、ペリト・モレノ氷河、ウプサラ氷河、パイネ国立公園のグレイ氷河など無数の...
フィッツロイ山麓・ビエドマ氷河ハイキングの魅力... チャルテン村から車と船を乗継ぎ、約一時間ほどの距離にあるのがビエドマ氷河です。アルゼンチン・パタゴニアでは最大の面積の氷河で、セロトーレの裏側の源流部から始まります。 幅が約3kmの末端部は、ペリトモレノ氷河同様に高さ40mほどの氷壁がズラリと並び、春から秋にかけて気温が高い時には氷壁が轟音を...
パタゴニア開拓史:氷河の思わぬ前進に翻弄される①... パタゴニアの開拓史は、私にとって一番魅力的な時代です。 なかでも20世紀初めのアゴスティーニ神父が活躍した時代が、パタゴニア開拓史で最も輝いて見えます。 とてつもない自然を前に、開拓民が繰り広げた苦労の歴史は、後世の私にはとても躍動的な時代に見えるからでしょう。圧倒的な自然を前に茫然としなが...
パタゴニア・ペリトモレノ氷河の“氷河ダム”決壊... パタゴニア・ペリトモレノ氷河の貴重な自然現象:4年ぶりに現れた“氷河ダム”がついに決壊! ペリトモレノ氷河の前進は、今年になってからアルゼンチン湖を南北に分断して「氷河ダム」を形成していました。 面積の狭い“リコ湾”側は日に日に水位を増して行き、湖を堰き止めている氷河には膨大な圧力がかか...
2011パタゴニア旅行 ④レオナ牧場(エステーラ牧場)... 憧れのレオナ牧場に宿泊しました。ここの魅力は、対岸に見えるフィッツロイです。 ビエドマ湖からフィッツロイ山群を望む。左の氷河は、北部氷床から流れるビエドマ氷河。 レオナ川 パタゴニア史のドラマに満ちたレオナ牧場。おみやげ屋併設の本館には、40ドルで宿泊できます 牧場の敷地内を延々と歩く ...
フィッツロイ峰の山頂が姿を現す一瞬:パタゴニア... フィッツロイを取り巻く雲が一度山頂に張り付けば、なかなか剥がれないものだ。 そんな時には、ほんの一瞬でも山頂が顔を出したなら運が良いだろう。 たとえチャルテンで晴れていても、フィッツロイやセロトーレの山頂の天候とは異なるので、一瞬を待ってじっくりと望める時間が欲しいものだ ...

パタゴニアの民族史①

星を見に行く <5月~10月の南米>

パタゴニア
パタゴニア

関連記事

  1. 世界一おいしい羊は、パタゴニア産です

    2012.07.30
  2. アルゼンチン&パタゴニア縦断4000km:憧れの「ルート40」旅行

    2017.07.15
  3. 薄明のパタゴニア・フィッツロイ峰:知覚できない領域へ

    2018.09.14
  4. 2011パタゴニア旅行 ⑤ヘルシンガー牧場(その一)

    2012.02.05
  5. パタゴニアの3種類の南極ブナ①:落葉樹「レンガ」

    2015.09.18
  6. 果てしない大雪原を歩く:パタゴニア南部氷原③

    2014.09.12
2019年1月
« 12月    
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  
パタゴニア

最近の記事

アーカイブ

PAGE TOP