Loading

風景写真家・松井章のブログ

マチュピチュで好きな場所 ― コンドルの神殿

マチュピチュの隠れた名所:コンドルの神殿

マチュピチュの中でも、私が特に好きな場所のひとつが「コンドルの神殿」です。
地面にある石はコンドルの頭部のように見え、その背後には大きな自然岩が左右に広がっています。少し離れて全体を見ると、まるで巨大なコンドルが翼を広げ、空から舞い降りてきたようにも見えます。

ここは単にコンドルを石で表現した場所ではなく、周囲には洞窟や岩を利用した空間があり、儀礼に関係した場所だったと考えられています。実際、この周辺ではラクダ科動物の骨も見つかっており、リャマなどを神々への供物とした祭祀との関係も指摘されています。

アンデスの世界でコンドルは、天空を舞う特別な存在でした。山の神々を象徴する鳥として扱われてきた歴史もあります。
そしてコンドルの姿のすぐ下には、岩の奥へ続く洞窟状の空間があるそうです。そこにはミイラが置かれていた可能性もあるのだとか。実際に、マチュピチュの地下には、未だに開かれていない地下空間はいくつもあり、ミイラもまだ手付かずで安置されていると考えられています。

そう考えると、この場所には、空の世界と地上、そして死者の世界(あの世)を結ぶような意味が込められていたのではないか―そんな想像も膨らみます。

もちろん、インカの人々がここにどのような意味を込めたのか、そのすべてが分かっているわけではありません。
それでも、自然の岩そのものを利用して巨大なコンドルを浮かび上がらせ、その足元に祭祀の空間をつくった構成を見ると、インカの人々にとって、「自然」と「神聖な世界」が切り離されたものではなかったことを感じさせます。

マチュピチュには華やかな場所がたくさんありますが、私はこの少し暗く、不思議な空気を持つコンドルの神殿に、いつも惹かれます。

10月25日開催「ボリビア・アルパカ」&「マチュピチュ」トークショー

関連記事

  1. レンソイス追想:水晶と水、風が創り出す奇跡の絶景

    2020.05.01
  2. 写真展「アルパカ」|ギャラリー・トークの詳細が決まりました

    2026.03.20
  3. アンデス高原鉄道① 古都クスコから天空のチチカカ湖へ

    2015.08.07
  4. 【北海道ニセコ】曽我北栄環状列石から想像する縄文時代

    2021.07.30
  5. 薄明のパタゴニア・フィッツロイ峰:知覚できない領域へ

    2018.09.14
  6. 『しあわせ気分のスペイン語 12月号』連載「アラゴンを知る」:アインサ村

    2024.11.18

キーワード検索

2026年9月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

最近の記事

アーカイブ

PAGE TOP