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風景写真家・松井章のブログ

パタゴニア南部氷床:氷河昆虫

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「パタゴニア南部氷床」は、南緯48度から南緯51度、南北350キロに広がる巨大な氷原です。アルゼンチンとチリの国境が氷原を分断し、その面積は2,500㎢に渡ります。東京都の約1.2倍の大きさです。南部氷床からは無数の氷河が流れ、ペリト・モレノ氷河、ウプサラ氷河、パイネ国立公園のグレイ氷河など無数の氷河の源です。
この氷原を境にパタゴニアの気候は、東西で大きく分かれ、西のチリ側は降水量が多く入り組んだフィヨルドに南極ブナの密林が広がり、東のアルゼンチン側には乾燥したステップ地帯が延々と大西洋まで続きます。
果てしない氷原の上でも命を見ることができます。「氷河昆虫」といわれる生き物、カワゲラです。とても小さな昆虫ですので、じっと見ていないと気付かないでしょう。体長は1cm程度で、羽を持たずに氷の上を歩いています。氷原といっても、スケートのリンクではありませんので、粗い氷の結晶の上を歩いています。たくさんいるわけではありませんので、広大な氷の世界で、仲間と出会うことさえなく孤独に生きる個体もいるのでしょう。
生息する環境は、外気温が零度前後となり、人の手の上に乗せると死んでしまうそうです。生態の歴史は、3億年前の氷河期まで遡ると言われています。
かつて、地球表面が全球凍結するような過酷な時代でも、生命は地底深くで生き延びたくらいですので、生命の底力から考えるとごく自然な進化の一形態なのかもしれません。
延々と氷原を歩いている中で、ふと足元にじっと目を落とすと、氷の上にも生き物がいる、というのは感心というか、一種の感動に近いものがあります。
●弊社WEB「パタゴニア南部氷床トレキング」:https://www.andina-travel.com/cn22/icefield.html
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セロ・トーレ西面
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