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マチュピチュ遺跡の居住区
切り立つ渓谷の尾根にあるマチュピチュ遺跡は、大渓谷とジャングルの中にある「絶海の孤島」のような存在です。
マチュピチュ遺跡がこの厳しい立地に建設された理由は、巨大な神社のような役目であったと考えられています。
首都クスコから繋がるインカ道は一本のみです。他には小さな道は見つかっていますが、人が往来する道とは考えにくい細さです。そのことから、交易とは無縁で、インカ道の行き止まりにあるマチュピチュ遺跡は、生産的な機能はなく、祈りの場として作られたのです。
この宗教的な目的で建設されたマチュピチュ遺跡では、食糧や建築資材などほとんどを自給自足するために、約700人くらいの人が暮らしていたそうです。
マチュピチュ遺跡では人が暮らす居住区の面積が大きいことからも、どれだけ多くの人が暮らしていたかを想像できるでしょう。
王族や神官を始め、職人や石工、農民など、様々な職業の人が暮らしたはずです。
居住区にある家々には区画があり、一番の高台は居住区、その下が職人や農民であったそうです。居住区の下には段々畑がひたすら谷底まで続いています。
山を覆うように建設されたマチュピチュ遺跡は、まだすべてが発掘されたわけではありません。谷底への斜面にはまだ無数の段々畑がジャングルに埋もれています。
▲居住区から望む段々畑
▲居住区内にある水鏡。天体観測用に使われた岩台