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風景写真家・松井章のブログ

氷河の歴史を辿り“トレス湖”へ/パタゴニア・フィッツロイ峰の絶景ポイント


フィッツロイ直下のトレス湖は、最もフィッツロイを近くに望める絶景ポイントです。あまりにも近いことから、フィッツロイを見上げるように望みます。

チャルテン村からは、ルートにもよりますが、約4~6時間でたどり着きます。最後の約1時間半はつづら折りの急斜面をひたすら登る難所となります。

急斜面を登るにつれて、その高度感ある展望がまた魅力です。今まで歩いてきた道程を眼下に一望できます。遠くには、ビエドマ湖を望み、その向こうには大西洋まで数百キロ広がるステップ地帯も望めます。

ここから望むと、パタゴニアの植生や気候も理解できるでしょう。アンデス山脈に沿うように広がる大森林地帯も南北に細長いですが、ひとたび山脈から離れると木は育たない強風と乾燥が支配する草原地帯なのです。

パタゴニアの面積でみれば、この草原地帯が大部分を占めて、森林地帯は山脈に張り付くような薄い膜のような存在なのです。

急斜面の登りも終盤になると、フィッツロイが山頂部から少しずつ顔を出してきます。

終盤は岩場を歩くことになります。この岩場は、氷河の堆積物が積み重なった「モレーン」です。まだ植物も生えていないので、おそらく数百年前まではこの斜面も氷で覆われていたことを暗示しています。
氷河や地球の歴史のスパンで考えれば、それはつい最近の話といえるでしょう

かつて氷河期には、パタゴニアの氷河はチャルテン村さえも氷で覆い、約100キロ近く東のビエドマ湖まで氷がすっぽりと覆っていました。

アルゼンチンのパタゴニアの地図を見ると、東西に細長い湖が点在しているのが分かります。全て東西に50~100キロくらいの長さです。
これらの湖は、かつて氷河が覆っていた証なのです。氷河が後退する中で残した痕跡が、深い溝に貯まるこれらの巨大湖です。

最後の急斜面のモレーンを越えると、フィッツロイ峰とトレス湖が姿を現します。トレス湖のコバルトブルーとフィッツロイが織りなす山岳展望は、パタゴニアらしい景色と言えるでしょう

かつてパタゴニアの巨大な氷河の歴史を辿るようにして、チャルテン村からトレス湖へ向かう道程は、フィッツロイ・トレッキングのハイライトです

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