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風景写真家・松井章のブログ

牧童ガウチョの故郷:伝統料理「アサード」/オンブ牧場1日観光②

アルゼンチン伝統料理「アサード」とは

ブエノスアイレス郊外の大草原パンパの牧場“エスタンシア”へ。丸一日かけてパンパへ向かうのは、やはり伝統料理アサードを食べるためです。

「オンブ牧場」の1日観光でも、メインテーマは「アサード」を食べることです。

草原で牧童ガウチョによって培われた伝統料理「アサード」はアルゼンチンの国民的な料理として都市でも食することができますが、産地である牧場で食べるのが最もお勧めです。

「アサード」とは、19世紀から牧童ガウチョの食文化が発展して生まれたバーベキューです。巨大な鉄網で豪快に焼くのですが、その味は実に繊細でアルゼンチンを代表する料理といわれる所以です。
味付けはとてもシンプルで、基本的には岩塩だけで味付けします。熾火でじっくりと3~4時間かけて焼くのが最も伝統的です。

ブラジルの伝統料理「シュラスコ(シュハスコ)」は炭火で焼くのに対して、アサードは熾火の遠赤外線でじっくりと焼きます。

アルゼンチン北部やブエノスアイレスでは、牛肉のアサードが基本です。お肉の各部位を焼きますが、特に美味しいのはコスティージャ(あばら骨)でしょうか。
パタゴニアに行くと、世界一美味しいと評されるパタゴニアの羊のアサードが人気です。近年では羊のアサードを食べるために世界中からツーリストが訪れるほどです。

アサード専用ソース:チミチュリ


アサードのために存在するソース「チミチュリ」もまた、アルゼンチン独特のソースです。パセリのみじん切りに少量の唐辛子、オレガノ、胡椒、塩とオリーブオイルとワインビネガーで和えたものがソースの基本です。
お店や家によって味や作り方は様々です

絶品のソーセージ:チョリソー


ソーセージ「チョリソ」も必ず食べたい料理です。日本でイメージされるチョリソは“辛い”イメージがありますが、実際には辛みは全くなく粗びきのひき肉のソーセージはステーキのように芳醇で、またどっしりとお腹に応えます。

黒いチョリソは「モルシージャ」と呼ばれる、血の腸詰です。癖がありますが、慣れると欠かせないチョリソとなるでしょう。

アサードの役割

かつて「アサード」が生まれた頃、牧童ガウチョたちが騎馬民族のごとく草原を駆け回り、牛を追い、草原で野営生活をする中で発展しました。火を中心にガウチョ達が集い、キャンプ生活の中で効率よく簡単に食事をするのが、アサードの始まりであったのです。

じきにガウチョ達がアルゼンチン建国に貢献するようになると、彼らの食文化アサードは、ブエノスアイレスなどの都市部に波及していきます。こうして、鉄網で豪快に焼く現代のアサードが生まれました。アサードの専門店に行けば、店員は今もガウチョの恰好をしているのはそのためです。

都市部でアサードが親しまれる中で、アサードが担う重要な役割は「コミュニケーション」です。何時間もかけて焼く間、家族や仲間で集い、ワインを飲みながら焼きあがる時間までを楽しみます。今も週末になれば、各家庭の庭で、備え付きの巨大な鉄網を使いアサードをするのが、アルゼンチンの最も典型的な週末の過ごし方でしょう。

アルゼンチンは食文化にコミュニケーションを重視する民族で、たとえば、「マテ茶」を飲む文化も、同じように回し飲みをすることでコミュニケーションの場を促すようにできています。マテ茶もアサードも牧童ガウチョの文化が発端です。
こうしてみると、アルゼンチンという国は、ガウチョあっての国なのだと思います。

南米の中でも、特異な存在感を放つアルゼンチンという国は、「ガウチョ」が国のシンボルなのです

アルゼンチン産のワイン:マルベック


日本ではアルゼンチン・ワインはあまり目にしませんが、南米で最も有名なワインは、アルゼンチンのワインです。「マルベック」という品種のブドウのワインが一般的で、アンデス山脈沿いのメンドーサやサルタのワインは、世界的に有名です。出荷する港が大西洋側ブエノスアイレスであることから、ほとんどのワインは欧米に輸出されています。

伝統料理アサードを本格的に食べたい方には、牧場で食べるのもお勧めです。
ブエノスアイレスを始め、パタゴニアでも牧場でアサードを食べることができます。

関連ページ:アルゼンチンとガウチョ

牧童ガウチョの故郷:サン・アントニオ・アレコ村/オンブ牧場1日観光①

ガウチョの歌声と伝統舞踏/オンブ牧場1日観光③

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