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風景写真家・松井章のブログ

山岳写真の朝日・夕日撮影のコツ/ペルー・ワスカラン国立公園(ワラス)

ペルー・アンデスの核心部「ブランカ山群」

ペルーで5000~6000mの氷雪峰が集中するブランカ山群の中で、その核心部を成すエリアは「ワスカラン国立公園」に指定されています。ペルー最高峰ワスカラン(6768m)山麓のワラス町はトレッキング・登山・山岳写真の基点となります。
赤道直下にも関わらず、アンデス山脈を覆う白い峰々ブランカ山群の山麓は巨大な熱帯氷河に覆われています。

山岳写真で朝日・夕日を撮影するために


ヒマラヤ山脈に匹敵する山岳展望を有するブランカ山群では、素晴らしい山岳写真を撮影することができます。
中でも、朝日や夕日の時間は最も美しい時間帯です。

このとき、太陽を入れてご来光を撮るのも良いですが、できれば太陽光線が照らす山肌をテーマにしたいものです。太陽が昇る瞬間は世界のどこからも望めますが、朝日・夕日に染まる山の表情は、そこだけで見ることができるからです。

朝日や夕日を撮影するためには、まず撮影地点から望む被写体となる山の角度が重要です。日の出・日の入りの時間と太陽の動きを予測したいところです。撮影地点で見える風景を事前にイメージできると、準備万端というところでしょうか。

“待つ”ことで捉える山の表情/名峰ワンドイの朝日


朝日に照る名峰ワンドイを撮影するために、ワスカラン国立公園の奥地へ向かいました。山麓の村(2600m)から車で未舗装の道を上ります。
ほぼ赤道直下のペルーでは、夜明け・日没の時間は年間を通してだいたい6時・または18時前後です。このとき宿を出発したのは朝4時ころでした。森林限界を越えて、4600mの峠に到着したのが5時ころです。空にはまだ煌々と星が煌めいています。富士山よりも1000m近くも高い峠では大気中の塵が少ないために、下界よりもクリアに星を望むことができます。
4600mの峠の前方にほぼ目線の高さで、名峰ワンドイ(6360m)を望みます。撮影地点が高ければ高いほどに、山岳写真はより迫力を伴います。

空が少し白み始めていますが、西の空はまだまだ暗く、天の川と銀河は刻一刻と南十字星を軸に回転しています。朝日直前の時間に、星空撮影をすることができるのも、朝日撮影の魅力です。月が没しているならば、朝日の直前に、おまけのように星空を展望することができるのです。

星空撮影にひと段落すると、星は白み始めた空に溶け込むように消えていきます。カメラの設定を朝日に変更して、いよいよ朝日を待ちます。
肝心なのは、朝日に照り輝くワンドイ峰です。日の出の時間より20分ほど前から、「黎明」が始まりました。白み始めた淡い紫色の空を吸い込むように、ワンドイ峰の氷壁は青紫色に鈍く輝き始めます。この微細な光は肉眼よりも、カメラの方がより鮮明に繊細に捉えることができるでしょう。
闇に浮かぶように青紫色は色の温度を徐々に濃くしていきます。刻々と変化する氷壁を見つめていると、いよいよ「日の出」が始まります。朝日の最初の一線が山頂を照らすと、その光線が当たるラインは、見る見るうちに山肌を伝い落ちて、氷壁の全体を橙色に照らします。時に燃えるように輝くモルゲンロートの氷壁が、朝日で最も美しい瞬間です。

橙色から金色に輝き始めると、美しい朝日のショーも終わりに近づきます。気づけば、撮影していたカメラのシャッタースピードもどんどん速くなり、手持ちでも撮影できるほどに山は明るくなっているでしょう。日の出から約20分くらいがきっと最も美しい時間帯となるでしょう。

星空の撮影から朝日の撮影まで約2時間ほどじっくりと時間をかけると、天候も味方すればきっと良い写真が撮影できるでしょう

関連ページ:ペルー・ワラス/ブランカ山群


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