Loading

PHOTO-BLOG

チリ・サーモンの原点:開拓時代の移植の歴史①

2.jpg
北半球の冬至は、南半球では夏至にあたります。冬至の昨日は、太陽が南緯23.5度の南回帰線の真上に位置していました。
このように北半球と南半球では、赤道を基点に季節のリズムに「半年のずれ」があります。
この半年のずれは、生き物の生息には時に大変な壁となります。種子が発芽する植物は順応が比較的に容易なことが考えられますが、生存期間が数年のみの生き物にとっては、赤道は絶対越えられない壁になり得るのです。
日本ではすっかり市民権を得た「チリ産サーモン」は、その自然界の掟を越えたものであり、そこには人類の努力の歴史があります。
漁業資源としてのチリ・サーモンには、日本人の大変な努力と協力があった事をご存知の方も多いのではないでしょうか。その日本人の貢献(後述します)だけがクローズアップされて、「チリ・サーモン!日本人エライ、バンザイ」と美化されることもありますが、本来のパタゴニアでのサケ・マス(サーモン・トラウト)の歴史を紐解くと、少し異なる視点も生まれます。たしかに日本の功績は計り知れなく大きいですが、それはあくまで人類の努力の歴史の延長線上、一部にあると考えるべきかもしれません。
そもそも、サケ・マスは南半球には生息していないはずの生き物です。イケスで養殖して輸出しているのが、チリ・サーモンの正体です。正確には、サケではなく、降海型ニジマスの養殖ですので、サーモン(サケ)ではなく、トラウト(マス)であるそうです。
一方、パタゴニアの河川は釣りでも有名です。南部パタゴニアで、マス(トラウト)を手にするスポーツ・フィッシングの広告をよく目にします。その大きさは1mを超えるような巨大なもので、そのサイズは外洋で育った証と言えるでしょう。
南半球に遡上するマスがいるのは何故なのか、どんな歴史があり、そして日本人の養殖はどのように貢献したのか。
北半球から南半球へのマス(トラウト)&サケ(サーモン)の壮大な移動と、人類のそのサーモンへの(!)貢献の歴史を辿って行こうと思います。
(続く)

関連ページ

パタゴニア開拓史:氷河の思わぬ前進に翻弄される①... パタゴニアの開拓史は、私にとって一番魅力的な時代です。 なかでも20世紀初めのアゴスティーニ神父が活躍した時代が、パタゴニア開拓史で最も輝いて見えます。 とてつもない自然を前に、開拓民が繰り広げた苦労の歴史は、後世の私にはとても躍動的な時代に見えるからでしょう。圧倒的な自然を前に茫然としなが...
パタゴニア開拓史:イギリスとの因縁... パタゴニアに自生するイネ科の植物・コイロンが、羊の好物であることを発見されて以来、パタゴニア中のほとんど全ての土地がパッチワーク状に区切り分配されていく。 19世紀後半の開拓時代の初期、最初に羊をもちこんだのはイギリス人であった。当時のアルゼンチン政府はまだパタゴニアの価値に気付かず、手つかず...
「嵐の大地」エリック・シプトンのパタゴニア探検... 「嵐の大地 パタゴニア探検 1958~1962」は、エリック・シプトンが後半生をかけることになるパタゴニア探検の前半のものです。 ネパールやインドのヒマラヤ山脈、パキスタンのカラコルム山脈で勇名を馳せたエリック・シプトンが、探検の新たな舞台にパタゴニアを選んだ時、既に彼は50歳でした。 ...
パタゴニア開拓の歩み:フィッツロイ山麓チャルテン村の建設... 牧羊ブームで始まる「パタゴニア開拓史」 たった100年前のパタゴニアは、未開の土地として忘れられたフロンティアであった。 この頃はヨーロッパからの移民が大量にブエノスアイレスに住み着き、今のブエノスアイレスの原型を作り上げた時期だ。 当時のパタゴニアは生産的な価値の無い場所として放...
フィッツロイ山麓・ピエドラブランカ氷河の急激な後退... パタゴニアの開拓時代を代表する探検家の一人、アゴスティーニ神父の代表作「Andes Patagonicos」には、パタゴニアの山岳写真を中心に、当時の風景・先住民・開拓民の生活など、多くの貴重な写真が載せられています。 アゴスティーニ神父は、詳細な記録を残しただけではなく、秀逸な写真も大量...
パタゴニアのシンボル:黄金色のコイロン草と羊... パタゴニアだけに自生する草「コイロン」が羊の牧草に適していることが、パタゴニア中に羊牧が大発展した理由です。こうしてブランドとも言えるパタゴニア産の羊が誕生します。 しかし、外来の羊はパタゴニアの生態系には順応していません。羊の歯形は、コイロンを根こそぎにしてしまいます。一度裸になった土地にコ...

テント泊トレッキングの装備③:ナイフ

パタゴニア開拓時代に移植されたサーモン・トラウトの歴史②

パタゴニア
パタゴニア

関連記事

  1. セロトーレの氷河湖で待つ黎明と朝日:パタゴニア

    2015.04.22
  2. 氷河の成り立ちを辿る壮大なトレッキング:パタゴニア氷原

    2015.05.25
  3. 3/18「フィッツロイ山群トレッキング 9日間」のお知らせ

    2016.10.12
  4. チャルテンからさらに北へ:パタゴニアのサンマルティン湖

    2016.05.27
  5. パイネ国立公園:縦走トレッキングのみで望める大岩壁

    2014.08.26
  6. パタゴニア・フィッツロイ直下のトレス湖で、朝日を待つ

    2015.04.18
2019年1月
« 12月    
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  
パタゴニア

最近の記事

アーカイブ

PAGE TOP