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風景写真家・松井章のブログ

パタゴニアとアンデス高原を舞う巨鳥・コンドルの生態

パタゴニアとアンデス山脈の象徴:コンドル

暴風が吹き荒れる空にコンドルが舞うと、思わず人は立ち止まり、空を見上げてしまう。
どれだけコンドルを見慣れていても、やはり目で追ってしまうほどに、コンドルは悠々と舞う。そのコンドルの姿は我々にとってロマンや憧憬の対象であり、パタゴニアやアンデス山脈のシンボルなのだ。

巨鳥・コンドルの生態

コンドルは両翼を伸ばすと3m、体重は10kgに及ぶ。コンドルはその巨体を獲得するために、羽ばたくことを捨てた鳥だ。羽ばたくことを捨てたことで、コンドルは飛びたつために風を必要とする。代わりに、暴風に滑空するための巨体を手に入れた。

まともに立っていられないほどの暴風も、彼らにとっては空を舞うための好条件だ。大空をグライダーのように滑空するコンドルにとって、風の有無は死活問題なのだ。上昇気流が無ければ生きて行けないコンドルは、パタゴニアやアンデス山脈だけに生息する特異な鳥として進化した。

コンドルは死肉を食べる鳥だ。上空で旋回するコンドルを見つけたのならば、その近くに、グアナコやリャマなどのラクダ、そして羊の死骸があると考えてよいだろう。

いつか丘の頂上で昼寝をしていると、コンドルが自分の真上を旋回していることに気づいた。自分が餌になる死骸であるのか、コンドルは上空から探っていたのだろうか。

死肉を見つけると、コンドルは臭いを嗅ぎつけてたちまち10羽以上が集まる。その周りには、小さなタカなどが遠巻きに集まり、おこぼれを待つ。パタゴニアの荒涼とした大草原に、鳥が大量に集まる現場はなかなか迫力がある。数十分もすると死骸は骨と化し大地に帰る

その風景を見ていると、いつもチベットの“鳥葬”に想いは行く。チベット仏教にとって、鳥は魂を天に届ける風の使いなのだ。物質的な輪廻は生き物の大原則であり、雲散霧消した生命はきっと転生したのだと思いたい。

コンドルが舞う瞬間

コンドルが空に飛び立つ瞬間もまた見事だ。

草原の小さな凹凸に、彼らは風の道を見ることができる。コンドルは大きな翼を広げると、魔法のようにふわりと空に浮き上がった。
巨鳥が空を舞うとき、彼らはほとんど自分の力を使わずに、揚力だけで飛び立つのだ。

それはコンドルが他の鳥とは格が違うと思える瞬間だ。
南米大陸のアンデス高原(ペルー、ボリビア、エクアドル、コロンビア、アルゼンチン北・中部、チリ北・中部)に生きるインカ系のケチュア族やアイマラ族は、コンドルを空の神様として崇めた。
空を飛べない我々ヒトにとって、悠々と舞うコンドルは空の帝王なのだ

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