Loading

風景写真家・松井章のブログ

南米最高峰アコンカグアへ③:オルコネス氷河から南壁の大絶壁へ


朝日の最初の光線がアコンカグアを照らすと、黎明に浮かぶ山頂部は一瞬で橙色に燃えるように輝いた。
静かな朝だが、上空は風が強いのだろう。山頂部に雪煙が舞っている。

日の光はますます力を増して、ベースキャンプに日が差すと、水たまりの氷はみるみる融けて、気温は一気に上がっていく。

ベースキャンプから二手に分かれる分岐で、東へ向かう。深い谷の向こうに、オルコネス氷河の末端部が見えてきた。氷河は土砂に覆われているが、土砂の隙間から青々とした氷が見える。
氷河のサイドモレーンに沿って、ゆっくりと登る。

谷を見上げれば、アルゼンチンらしい褶曲山脈を望める。南米大陸を長大に縦断するアンデス山脈は、東西の斜面で表情は全く異なる。西斜面は火山が多く、円錐型の山が多い。それに比べて、東斜面に火山は少なく、古い大地は巨大なエネルギーに圧縮されて地層は歪められ、隆起の末に風に侵食される。湿った空気は西斜面で降水するので、東側には荒涼としたステップ地帯が広がるのだ。

途方もない大地創生の歴史を垣間見ながら、一歩一歩進む。

鉱物が豊富に含まれるので、光の当たり具合によって、山々は微妙に色を変える。時に、七色に輝くと形容される山々は南米大陸の随所にあるのだ。

氷河を遡っていくと、徐々にアコンカグアが姿を現してくる。
斜度が緩やかになると、いよいよ氷河の源流部に入り込む。サイドモレーンの高台からは、氷河がアコンカグア南壁の麓から生まれる様子が見える。

遠くに、アルゼンチンの国旗が見えてきた。既に近いのだが、道はジグザグで、さらに斜面はわずかに上りなので、なかなか着かないと感じるだろう。標高4200mの高所では、歩みは思ったよりも重いのだ。

ようやく到着した「アコンカグア展望台」は、南壁が山頂から氷河まで一気に切り立つ標高差約2600mほどの大絶壁だ。ここはアコンカグアで最も展望の良い場所だけに、それなりに時間と体力を必要とする。

山頂を目指す人々に思いを馳せながら、テント泊トレッキングでアコンカグア南壁を目指すのは、七大陸最高峰の一つを感じたい人にはお勧めのルートだ。

関連ページ

「南米最高峰アコンカグア」専用ページ

南米最高峰アコンカグアへ②:ベースキャンプ -コンフルエンシア

南米最高峰アコンカグアへ④:アンデス高原の花畑

関連記事

  1. JICA市ヶ谷・写真展「風景の演舞 -タンゴ&パタゴニア-」開催

    2025.02.21
  2. チキタニア⑤:アマゾンの奥地「サンタアナ教会」と素朴な村

    2025.01.18
  3. パタゴニア・ペリトモレノ氷河:壮大な地球のリズムと“ムーラン”

    2020.03.20
  4. ブエノスアイレスの魅力を伝えるオンライン企画<BA Style>

    2021.12.26
  5. 本日から始まるカメラショー「CP+」にて、写真展示いただきました

    2025.02.27
  6. トラモンタナ山脈の村を巡る

    2024.09.10
パタゴニア
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

最近の記事

アーカイブ

PAGE TOP