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パタゴニアの南極ブナ

南米パタゴニアで南緯50度付近になると、森に自生する木のほとんどが南極ブナです。
これほど南極ブナが繁栄している理由は、寒さと暴風、そしてやせた大地にも耐えて育つ強さにあります。
約2億年前、南米大陸が南極やアフリカ、オーストラリアとつながっていたゴンドワナ大陸の時代から、幾度もの氷河期を乗り越え、この厳しい大地に生き残ってきました。
ブナという名前は付いていますが、近縁ではあるものの、北半球のブナとは別の系統で、ナンキョクブナ属に分類されます。

南極ブナにはいくつかの種類がありますが、パタゴニアに見られるのは主に3種類です。
落葉樹の
レンガ(Nothofagus pumilio)、
ニーレ(Nothofagus antarctica)、
そして常緑樹の
コイウエ(Nothofagus dombeyi)です。

このうち、落葉樹のレンガとニーレはとてもよく似ています。
葉の形にわずかな違いがある程度で、環境による樹形の違いが大きな特徴です。
レンガは、風の影響が少ない場所では高木に育ちますが、ニーレはより厳しい環境に適応し、低木状になることが多く見られます。

春から夏にかけて森を歩いていると、南極ブナの花を見つけることができます。
レンガの花は2月頃、ニーレの花は12月頃に観察できました。
近縁種であるため、花の形態も非常によく似ています。

▲この写真は雄花です。
小さく可憐な姿をしていますが、花粉は風によって運ばれるため、大きく目立つ花をつけません。
強風が吹き、媒介する昆虫が少ないパタゴニアの環境に適応した進化といえるでしょう。

▲こちらの写真は雌花です。
雌花の特徴は、総苞(そうほう)と呼ばれる果実の原型に包まれている点です。この総苞は、受粉後に果実となり、種を守ります。
また、風に飛ばされた花粉を受け取りやすいよう、柱頭が外に突き出ています。

秋の4月頃になると、成熟した種は風に吹かれて落下します。
その頃、森は一斉に赤く染まり、南極ブナの紅葉が始まります。






























