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サンファン移住地:3回目の訪問
9月末、ボリビア東部・サンタクルス県のサンファン移住地を再び訪れました。
これで3回目の訪問です。
サンファン移住地は、1955年に長崎県と福岡県からの移住者を中心に建設された移住地です。
かつては、ボリビア人さえも住むことのないアマゾンの密林でしたが、今ではどこまでも水田や畑が広がる豊穣の大地へと姿を変えています。
今回の訪問は3度目で、時期は9月末。
いつもお世話になっている池田さんに、水田を案内していただきました。
この季節の水田では、穂を実らせる前の青々とした稲がすくすくと育っていました。
冬が終わり、季節は夏へと向かい気温も上がっていきますが、この日は前日の雨のおかげで過ごしやすく、爽やかな風が吹いていました。
風が水田を渡るたびに、稲の葉が海の波のようにうねり、生命の力強さを感じます。
水稲には「水」という資源が不可欠です。
年によっては水の確保が難しくなることもあり、気候変動によって先が読みにくい近年は、農家としての難しさが増しているそうです。
稲の次に栽培している大豆も見せていただきました。
大豆畑の向こうには、サンフアン農牧総合協同組合(CAISY)の巨大な工場が見えます。
続いて、サンファン移住地をはじめ周辺地域からも信頼を集める仁田原病院を訪ねました。
外科を中心とするこの病院は常に患者が絶えず、院長の仁田原先生は多忙な日々を送っています。
仁田原さんご一家も、もともとはこの地に入植した開拓者の一員であり、病院の裏手には広大な土地を所有されています。
この日は少し時間をいただき、その広大な元農地を見せていただきました。
そこには、魚を大量に飼育する大きな溜め池、そして最近始められたというカカオ農園、そして広大な農園がありました。
多忙な中でも精力的に活動される姿には驚きます。
カカオ農園には立派なカカオの木が何百本も植えられ、枝にはたくさんの実が実っていました。
収穫されたカカオは熟成させたのち、チョコレートの原料にまで加工されるそうです。
▲仁田原ケンジ先生(右)
最後に、今では多くのボリビアの人々も暮らすサンファン移住地の町を少し歩きました。
わずか70年ほどの間に、深い密林から多くの人が暮らす町へと発展したことを思うと、その歩みの重みを感じずにはいられませんでした。