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メキシコの領土喪失に見る大国の論理/「アラモを忘れるな」

スペイン語の地名が残るアメリカ西部・南部

グランドキャニオンやモニュメントバレーで幻想的な写真を撮りながら、アメリカ西部を旅していると、スペイン語に由来する地名に溢れていることに気づく。
たとえば、ロサンゼルスは、元々「Los Angeles(天使たち)」というスペイン語が英語訛りで呼ばれるようになった町だ。コロラド州の「コロラド」はスペイン語で“カラフルな”を意味し、「ラスベガス」は“白鳥”を、「ネバダ」は“雪が積もった”を意味する。

かつてアメリカの半分はメキシコ領だった

アメリカにスペイン語の地名がたくさん残る理由は、かつて西部の開拓時代にはメキシコ領であったことを意味する。北はカリフォルニア州やネバダ州の周辺、東はコロラド州の辺りまで、広大な土地に及んだ。19世紀のアメリカ拡張の時代、徐々に西へ領土を拡張する中で、広大なメキシコ領と対峙することになる。

メキシコ領テキサス:アメリカ移民の流入


1821年、最初のアメリカ人が約300家族ほど、メキシコ領のテキサス州に移民として入植した。この時代のメキシコ政府はとても寛容であったことが仇となった。アメリカ人入植者が大量に押し寄せ、テキサスにおける多数派となった時に、アメリカ人は「テキサス共和国」として武力で独立してしまったのだ。
メキシコ政府軍が慌てて鎮圧に来て、主戦場となったのが有名な「アラモの砦」だ。この戦いでメキシコは勝利を収めるが、アメリカ人は「アラモを忘れるな。(卑怯なメキシコに復讐せよ)」というスローガンとともにアメリカ国民を煽り、大量のアメリカ義勇兵とともに再来してメキシコ政府軍を打倒する。そしてテキサスはアメリカ合衆国に正式に合流・併合されることになる。
1845年にテキサス周辺を併合して、さらに3年後にはカリフォルニア州やネバダ州もメキシコから奪うことで、今のアメリカ合衆国の原型が出来上がった。大西洋から太平洋にまたがる大陸国家の完成だ。

メキシコはアメリカを非難するものの、戦争に負けた国に力はなく、かくてメキシコは領土の3分の一をわずか20年ほどの間に“永久に”失うことになる。

太平洋に進出するアメリカと幕末の日本

メキシコを打倒したアメリカが太平洋に乗り出し、「黒船」とともに日本に来航したのがペリーだ。ペリーはメキシコ侵略の方法を日本にも適用することを画策して、沖縄の一部や小笠原諸島の父島に、かつてのテキサスと同じようにアメリカ人の入植者を送り込んだ。これは徳川幕府の領有権の宣言などにより立ち消えになったが、「メキシコの悲劇」は幕末の日本にも影響を及ぼしつつあったのだ。

現代も続く領土拡張の定番“土地の浸食”と「クリミア併合」


アメリカだけではなく、古来から大国が領土を拡張する常套手段が移民を送り込むことだろう。最近の出来事でいえば、2014年ロシアに併合されたクリミアだ。
ウクライナという主権国家の自治国という立場であったクリミアは、もともとロシア系住民を始め、ウクライナ系も多く住む複雑な都市だった。黒海に睨みを利かせる軍事的な要衝であることから、ロシアはクリミアにおけるロシア系住民を後押しすることで、徐々に親ロシア系の国に変容させて、ついにロシアに併合してしまった。

中南米の歴史を学んでいると、日本の未来も垣間見れるようで、世界のあまたで起こる事柄はリアルに我々に関わることだと知ることができる。
人間社会には無数の残酷な悲劇があるのも一つの現実で、自分で守ることができなければ淘汰されるのは「自然の摂理」なのだろう。

「メキシコの悲劇」は、その後の中南米とアメリカとの関係性を決定づけてしまう大きな歴史の分岐点だっただ。

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