目次
チベット仏教圏を歩き学ぶ
縁あって、20代の頃から、チベット仏教(密教)圏を訪れる機会に何度も恵まれました。
ネパール、チベット、四川省、ブータン、モンゴル、カザフスタン、キルギスタンなど。
多くの土地では、その奥地に巨大な山を望めました。手の届かない高峰に人は神性を見出すのか。そこに生きる敬虔なチベット仏教徒の佇まいに、静かに学ぶものがありました。
▲アンナプルナ・サウス(7219m)
発祥はインドの大乗仏教ですが、チベット密教や山岳信仰の真言宗は、その発展の途上で仏教哲学の『唯識(世界は心の投影)』に、
簡単に言うと『空』という縁起の概念を加えました。
曼荼羅はその視覚的な象徴です。
日本の神道は特殊で哲学・教義を持ちませんが、神社にある御神鏡は『唯識』を暗示すると考えられます。
それは多神教ならではの考え方です。
自分の存在をどう捉えるか、まさに哲学です。
ヒマラヤ山脈で五色の旗が風に翻るのを見ると、いつもどこか安心するものです。
それは日本とヒマラヤの文化に共通する仏教という世界観があるからだと思っています。