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風景写真家・松井章のブログ

100年で消えゆくパタゴニアの氷河 ― ピエドラ・ブランカの記憶

フィッツロイ峰から流れるピエドラ・ブランカ氷河


パタゴニアに通い続けて、気づけば30年が経ちました。
この年月で最も分かりやすく変化してしまったのは、氷河の現象です。

たとえば、アルゼンチンのフィッツロイ峰から流れ出すピエドラ・ブランカ氷河です。
この懸垂氷河も同じく確実に減少しています。

ピエドラ・ブランカ氷河は、フィッツロイ峰が最も美しく見える東側から見ると、右の端にわずかに見えるだけです。
実際には、フィッツロイ峰が刻み込んだ深い谷の中を、この氷河が流れ出していて、その姿は、ピエドラ・ブランカ谷の正面からだけ、見ることができます。
決して大規模な氷河ではありませんが、氷河は明らかに後退していることが分かります。

たとえば、1930年代にこの地を探検して、貴重な写真を残したアゴスティーニ神父は、このピエドラ・ブランカ氷河の写真も撮影しています。


▲1930年代:ピエドラ・ブランカ氷河


▲2010年:ピエドラ・ブランカ氷河


▲2015年:ピエドラ・ブランカ氷河


▲2025年:ピエドラ・ブランカ氷河

何度も通い、過去の資料とも比べてみると、想像以上にパタゴニアの氷河が後退していることが分かります。
特に、この100年間の後退は著しいと言えるでしょう。

きっと産業革命よりも前の時代、あるいは「小氷期」と呼ばれる14世紀~19世紀頃は、きっと谷はもっと氷で満ちていたのでしょう。
その頃のパタゴニアがどのようであったか、何となくですが、1930年代の写真を見れば想像できるような気がしました。

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