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アルパカと人の営みの起源
アルパカという名前は広く知られていますが、
彼らはどこから来て、どのように人と出会い生きてきたのでしょうか。
アルパカはラクダ科の動物です。
その祖先は北米で誕生しました。
約300万年前、パナマ地峡の形成によって北米と南米が陸続きになると、その一部が南へ移動します。
南米のアンデス山脈に適応していったのが、現在も野生種として生きる「ビクーニャ」や「グアナコ」です。
一方で別の系統は、氷期に形成されたベーリング陸橋を経てユーラシア大陸へ渡り、やがて現在のラクダへとつながっていきました。

▲野生のビクーニャ。アルパカの祖先にあたる存在。
人類が南米大陸に到達したのは、およそ1万4千年前です。
その一派の人々は、アンデス山脈の高原に暮らすようになりました。現在のケチュア族やアイマラ族という山岳民族の祖先にあたる人々です。
彼らは高地の環境に適応する過程で、約4000〜6000年前に野生種のラクダたちを家畜化しました。
ビクーニャを主な祖先としながら、長い選択育種を経て誕生したのが「アルパカ」です。
寒暖差の激しい高地に適応していたアルパカは、その毛がとても断熱性が高いため、その繊維を衣服に利用しました。
もう一種のラクダ科である「リャマ」は、一説では低山帯に生息していたグアナコを祖先とし、ほぼ同じ時代に家畜化されたと考えられています。リャマは荷を運ぶ力強さを活かし、山岳地帯を結ぶ移動や交易の担い手となりました。
アルパカもリャマも、人との数千年の時間をかけて、人々の文化や信仰の中に深く組み込まれていきます。
人々の生活を支えるために、肉や皮、そして糞も全てが生活必需品として利用されます。また、人と神様を結ぶ仲立ちとしての役目も担いました。
そして、夜空の天の川にリャマの星座を見出すほどに、彼らは宇宙観の中心的存在として位置づけられてきました。
彼らは単なる家畜ではなく、家族の一員として、人々の暮らしの中心に寄り添い続けてきた存在です。

▲30年前のレアル山群にて。リャマとイヤンプー峰
私が初めてアルパカとリャマに出会ったのは、約30年前のことでした。
ボリビアのレアル山群のイヤンプー峰の中腹でキャンプをしていたとき、斜面の草原に立つその姿を見て、自分がアンデスにいることを強く実感しました。
森林限界を越えた草原で、乾季の9月は午後になると雲が湧き上がり、光と靄がゆらゆらと交錯する幻想的な風景の中に、遠くを見つめるアルパカとリャマの姿がありました。民族衣装を着た女性がときどき現れては、彼らを誘導していました。
おそらく何千年も大きくは変わっていないアンデスならではの風景でしょう。30年前も、今も、変わることなく続く営みです。
もしかすると私たちは、6000年という途方もない時間を超えた風景を、いまも見つめているのかもしれません。これからも長い伝統文化の上に成り立つ、アルパカとリャマの放牧が続けられることを祈るばかりです。





























