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風景写真家・松井章のブログ

南極に輝く生命:サウスシェットランド諸島のゾウアザラシ

野生動物の楽園:サウスシェットランド諸島

南極半島の先端に位置するサウスシェットランド諸島は、氷から地肌が露出する面積が多いことから、春から夏の子育てシーズンには、多くの野生動物がこの諸島で過ごします。南極における野生動物の楽園と言っても良いでしょう。
島によっては巨大な活火山の一部を成すことから、海岸の浅瀬に温泉が湧いていたりします。

南米大陸の南端ウシュアイア(アルゼンチン)やプンタアレナス(チリ)から船で約3日かけて、荒れるドレーク海峡を越えて最初に見える陸地が、南緯62度のサウスシェットランド諸島です。
ドレーク海峡を経る3日間で久々に陸に上陸すると、体はまだ実感できないのかしばらくはユラユラとした感覚が続くものです。

巨大なゾウアザラシのハーレム

サウスシェットランド諸島は、南極大陸と同じく地表はほとんどが氷河に覆われているものの、海岸部には地肌が露出する砂浜が多くあります。この砂浜に野生動物が集まります。

島に上陸して、ペンギンの間を縫うように抜けて海岸を歩いていると、遠く巨大な樽のような物体が無造作に折り重なる一角が見えてきました。それは、巨大なアザラシであるゾウアザラシのハーレムです。
近くに寄ると、ときおりゾウアザラシはうなり声とともに頭を上げてこちらを見ています。

ゾウアザラシは体長約4.5m、体重2000kgの巨体です。南極大陸に上陸できる生き物としては最大級です。陸上ではのそのそと這って歩きますが、水中では優秀なハンターで、生涯の8割を水中で過ごしています。

ハーレムはオス一匹がメスを独占しているので、首をもたげてこちらを見ている(あるいは監視している)のは、オスなのかもしれません。

食後の昼寝なのかゾウアザラシは全く動こうとしませんが、とつぜん大きなうなり声が上がると、オスと思われるアザラシは立ち上がるように、天に向かって大きく吠えました。

海岸をよく見ると、ちらほらとゾウアザラシのハーレムがあり、やはりゾウアザラシは昼寝をしていますが、ときおり一匹のゾウアザラシは身を反らせて立ち上がり、大きく吠えていました。

南極の短い夏を謳歌する野生動物を見ていると、南極大陸は実は多くの生命が集まる楽園であることに一種の感動を感じます。一見すると死の土地ですが、海には豊富なプランクトンが生息することから、海洋生物にとって南極大陸は楽園なのです。

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