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風景写真家・松井章のブログ

「アンデスの神の山」アウサンガテへ

ケチュア族の聖峰アウサンガテ


ペルーで4番目に標高の高いアウサンガテ山(6372m)は、先住民ケチュア族にとって最も神聖な山です。
このアウサンガテ峰を主峰にしたビルカノータ山群は、アンデス山脈でもひときわ大きな支脈です。

インカ帝国を築いたケチュア族は、クスコを中心に巨大な帝国を築きました。このクスコから遠望できるアウサンガテ山は、ケチュア族のアンデス信仰にとって最も神聖な存在です。
クスコという都は、インカ帝国の中枢として、精密な都市計画とともに作られました。町自体がピューマの形にデザインされ、頭の部分に神殿がありました。
このクスコの先にアウサンガテ峰が見えるのは偶然ではなく、神様を望める場所としてアウサンガテ峰の展望も都市計画の重要な要素であったはずです。

どこまでも緻密に考えるのが、アンデスの先住民(ケチュア族やアイマラ族)であるからです。

ケチュア族の人々のアンデス信仰は、万物に精霊が宿ると考える多神教(アニミズム)です。精霊(あるいは神様)を尊敬の念とともに「アプー」と呼びます。

人々は、何かと神様に祈りや感謝を捧げるときに、コカの葉を3枚掲げながら「アプー・アウサンガテ」と呟きます。
クスコ周辺の人々にとって、アウサンガテ山は神様そのものなのでしょう。

アンデス信仰の神髄「アイニ」とアニミズム


アンデスの人々(ケチュア族やアイマラ族)は、「アイニ」と呼ばれる考えに基づいて暮らしています。相互扶助(または相互主義)のシステムのよう、コミュニティの結束を強める戒律のような思想です。

この思想は人だけではなく、「アプー」とも交わされるもので、アプーにコカの葉や供物を捧げることで、アプーからは大地の恵みを受け取ります。

信仰と思想はほとんど切り離せないほどに密接です。捧げる事・受け取る事という互恵に基づいて、人と自然は深く関わっているのです。

アプーという万物を前に、人の存在はごく小さなことを自覚して、謙虚に自然と生きるためのアンデス信仰の神髄だと思います。

アウサンガテ山群は、ケチュア族にとっては故郷の風景を象徴する場所なのではと思います。氷河から流れる水は恵みを糧に、今も人々は伝統的な暮らしを守り、アルパカを放牧して、ジャガイモやキヌアの畑作で暮らしています。

撮影機材

★撮影機材:(ボディ)SONYα7R IV、(レンズ)ZEISS Batis 2/25, SAMYANG AF 35-150mm F2-2.8 FE, SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN

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