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アンデス山脈に生きる巨鳥・コンドル
アンデス山脈にいると、大空を悠々と滑空するコンドルを頻繁に目にします。
インカ文明の人々が「太陽神インティの使い」として崇めた巨鳥は、翼を広げると3.5メートルもある世界最大の鳥です。
コンドルはほとんど羽ばたくことをしない鳥です。
自らの力だけではその巨体を浮き上がらせることはできないので、飛翔には風を必ず必要とします。
そのため、上昇気流の吹く谷の崖に巣を造ります。
崖に巣があるのは外敵から身を守るためだけではなく、空に飛びあがるためという理由もあります。
アンデス山脈は夜間と昼間の寒暖差はとても大きいです。
朝、暗い谷に陽が射し込むと、急速に温度は上がり、それとともに上昇気流も発生します。
翼を広げて上昇気流を掴めば、あとは旋回しながら、どこまでも上昇していきます。
朝は、コンドルが活動するには最も良い時間帯なのです。
コンドルにとって理想的なこの時間帯、餌となる死肉を探す前に、ウォーミングアップの時間が必要なようです。
1時間ほど、谷間をぐるぐると旋回しています。
中には、幼鳥に飛び方を教えるように、首元が白い羽毛に覆われたオス鳥が、先導するように飛んでいたりします。
太陽が昇り、風が落ち着き始めると、コンドルたちは一羽一羽と空の彼方に飛び去って行きました。
「コンドルは飛んでいく」という曲には、自由への憧れを秘めて作曲されたそうです。
人の心に琴線に触れる曲調は、アンデスを舞うコンドルに見事に調和しているように感じます。