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デセプション島のナンキョクオットセイ/南極サウスシェットランド諸島

サウス・シェットランド諸島にて -探検船で行く南極クルーズ-

サウスシェットランド諸島のデセプション島は、かつて南極大陸への前線基地として栄えた島だ。
そのリング状の特殊な島の形が、南極大陸からの氷山も流れて来ない天然の良港であったからだ。
内湾に繋がる唯一の水路の幅はわずか240mほどで、外洋から完全に守られている。

後に捕鯨基地として工場がいくつも建てられ村が形成されるほどに、約100年ほど前は人が居住していた。
デセプション島のリング状の形から想像できる通り、この島は巨大なカルデラだ。
リング状の島は、外輪山というわけだ。
このデセプション島は巨大な活火山として、今も活動している。
海岸の砂浜にいくつかある水溜りに手を入れると、水が熱いほどだ。水温は40~50度はあっただろう。

かつて栄えた捕鯨基地も、今では完全な廃墟となっている。
この島が廃墟となったのは、捕鯨産業の衰退という時流のためだけではなかった。
数十年に一度起こる噴火により、何度か火山灰が降り積もることで、人はこの島を打ち捨てることになった。
最後は約50~60年ほど前に、チリ軍により小さな滑走路が建設されたそうだが、それも火山灰で埋もれてしまったのだ。
砂浜の黒い砂は、砂というよりも、火山性の小さな軽石なのだ。

広い砂浜に遺された工場や住居の廃屋が当時の村の姿をしのばせる。
今では、砂浜の住人は、ナンキョクオットセイだ。
ところどころ小さな木造船の残骸が散らばっているのだが、その残骸が彼らの恰好のランドマークとなっているようで、廃船に寄り添うようにオットセイが横になっていた。

夕刻、デセプション島を出発して、船はいよいよ南極大陸へ向かう。
ブランスフィールド海峡を越えて、約100キロも南に行けば、そこは南極大陸なのだ。
翌朝カーテンを開けたら、いったいどんな景色が広がっているのだろうか。
夜通しかけて海峡を越える船は、夜半に少し揺れたものの快適に南進を続けていた。

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