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風景写真家・松井章のブログ

パタゴニアの地質学:花崗岩のパイネ山群の成り立ちを探る

パイネ国立公園の花崗岩の岩峰の成り立ち


パタゴニアのパイネ国立公園には、鋭い岩峰が林立しています。

南米を縦断する長大なアンデス山脈で、このような鋭い峰のほとんどが、世界で最も硬い岩石である花崗岩で成り立ちます。

パタゴニアでいえば、チリ側のパイネ国立公園のパイネ山群や、アルゼンチン側のフィッツロイ山群が代表的です。
これらの岩峰はどのように生まれたのでしょうか。

よく暴風が磨いたと言いますが、間違いではありませんが、正解とも言い難いです。

始まりは、約2000万年前(中新世)に遡ります。
その時代、南米の南端であるパタゴニア周辺は海の底でした。遠浅の海であったと考えられています。
海底には途方も無い時間をかけて堆積物が積もり、堆積岩の地層が形成されました。

約1200万年前(中新世)、地下深くから、粘性の高いマグマが上昇して、この堆積岩の層に入り込みました。
この粘り気の強いマグマは地表に噴出するのではなく、堆積岩の地層に入り込み、固まりました。
これが花崗岩です。
このとき、パイネ山群の原型が地下で形成されたのです。

その後、数百万年前、地殻変動とともに、この堆積岩と花崗岩の地層が隆起して、地表に現れました。
その過程では、大地のすさまじい力により、地層は捻じ曲げられて褶曲しました。

地表に出ると、南極から吹く暴風が、風化で堆積岩を削り落としました。
世界で最も硬い花崗岩は、風化では削れません。
さらに形を整えるように、山麓の氷河が、花崗岩の岩肌を絶えず削りだし浸食しました。
この浸食の過程では数十万年かかったと考えられます。

こうして、現在のパイネ山群が生まれたのです。

人智を超えた途方も無い地球の芸術品が、パタゴニアの岩峰群です。

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