Loading

風景写真家・松井章のブログ

大地でつくるペルー料理「パチャマンカ」とは? アンデスに受け継がれる伝統の味

「大地の鍋」パチャマンカとは

ペルー料理と聞くと、セビーチェやロモ・サルタードを思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、アンデスの食文化を知るうえで、ぜひ知っておきたい料理があります。
それが「パチャマンカ(Pachamanca)」です。

パチャマンカは、肉やジャガイモ、トウモロコシなどを、地面の中で熱した石を使って蒸し焼きにするアンデスの伝統料理です。
単なる郷土料理ではありません。
そこには、大地の恵みに感謝し、家族や地域の人々と食事を分かち合ってきたアンデスの暮らしが息づいています。

「パチャマンカ」という名前は、ケチュア語に由来します。
「Pacha」は大地、「Manka」は鍋。
つまり「大地の鍋」という意味です。

その名前の通り、地面そのものを巨大な調理器具として使います。
熱した石を利用して食材を調理する技法は、インカ以前の時代までさかのぼる非常に古いものです。現在のパチャマンカにも、その伝統が受け継がれています。

地面を掘り、石を熱する


パチャマンカの調理は、まず地面に穴を掘るところから始まります。
穴の中や周囲で石を熱し、十分に高温になったところで食材を入れていきます。

使われる肉は地域によって異なりますが、羊肉、豚肉、鶏肉、牛肉、クイなどが代表的です。
肉にはあらかじめ、アンデス特有の香草であるワカタイやチンチョ、唐辛子、クミンなどで味をつけます。
そこにジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、ソラマメ、オカなどを加え、熱した石とともに重ねていきます。地域によってはウミータも一緒に入れます。
最後に葉や土などで覆い、地中に熱と蒸気を閉じ込めます。
しばらくすると、肉や野菜は石の熱でじっくりと火が通り、香草の香りをまとった素朴で力強い料理になります。

地域によって味も食材も違う


パチャマンカには「これが唯一の正解」というレシピがありません。
アンデスは広く、地域によって育つ作物や飼育される家畜も異なるためです。
フニン、ワンカベリカ、アヤクチョ、ワヌコ、クスコなど、それぞれの土地で使う肉やジャガイモ、香草、調味料に違いがあります。

つまりパチャマンカは、その土地で採れたものを、その土地の方法で調理する料理でもあります。
そこにはアンデスの自然環境と人々の生活がそのまま表れています。

料理であり、地域社会の行事でもある


パチャマンカのおもしろさは、完成した料理だけにあるわけではありません。
穴を掘り、石を熱し、肉や野菜を準備し、みんなで完成を待つ。
その一連の過程そのものが大切です。
現在でもアンデスの農村では、家族の集まりや祭り、祝い事など、大勢が集まる場でパチャマンカがつくられることがあります。

パチャマンカは「大地への信仰と結びついた共同の食事」という社会文化的な意味を持つ伝統です。
食べる人だけではありません。
食材を育てる人、肉を用意する人、石を熱する人、料理を仕切る人。
みんなで一つの食事をつくり、最後に同じ料理を囲みます。
だからパチャマンカは、単なる「地中蒸し料理」とは少し違います。
人と人、そして人と大地をつなぐ料理なのです。

「大地母神」パチャママへの感謝


アンデスの人々にとって、大地は単なる土地ではありません。
「パチャママ(Pachamama)」と呼ばれる母なる大地は、人間や動物に食べ物を与え、命を育む存在として大切にされてきました。
パチャマンカにも、そうした世界観が重なっています。

地面を開き、そこに大地から得た作物や肉を入れ、大地の中で料理し、再び人々がいただく。
非常に象徴的な料理です。

地域や場面によって形は異なりますが、パチャマンカが祝い事や共同体の集まり、大地への感謝と結びついているのです。

ペルーの国家文化遺産にも


こうした歴史と文化的重要性から、パチャマンカは2003年にペルーの「国家文化遺産(Patrimonio Cultural de la Nación)」に指定されました。
さらに2015年からは、毎年2月の第1日曜日が「Día Nacional de la Pachamanca(パチャマンカの日)」とされています。
現在では農村だけでなく、ペルー各地のレストランや観光施設でもパチャマンカを体験することができます。
しかし、その原点にあるのは、アンデスの大地とともに生きる人々の暮らしです。

アンデスの大地そのものを味わう


パチャマンカを食べていると、これは単なる料理なのだろうかと思うことがあります。
ジャガイモもトウモロコシもアンデスの大地から採れたもの。
肉もまた、その草原で育てられた家畜です。
香草も、石も、そして料理する場所さえ大地にあります。
それらを一つにして、大勢で囲んで食べる。
パチャマンカには、アンデスの人々が長い時間をかけて築いてきた「自然とともに生きる」という考え方が凝縮されています。

ペルーを旅する機会があれば、ぜひ一度味わってほしい料理です。
味だけでなく、その料理がつくられる風景まで含めて体験すると、アンデスという土地が少し違って見えてくるかもしれません。

麻布台ヒルズで、写真展とともにペルー料理を楽しむ

8月1日から、16日まで、麻布台ヒルズのタワープラザ4階の大垣書店 Ehon GALLERYにて、写真展「アルパカ ペルー・アンデスに生きる」を開催します。
3階のペルー料理ALDOは、この写真展を主催していますので、特別ランチ・メニューも用意しています。

写真展とともに、ペルー料理もお楽しみください。

8月1日~16日開催 写真展「アルパカ ペルー・アンデスに生きる」


アンデス高地で撮影してきた単にアルパカだけではなく、その背景にある大地や人々の暮らしまで感じていただける写真展です。

アルパカは、なぜアンデスでこれほど大切な存在なのでしょうか。
写真を見ながら、その向こう側にあるペルーの自然、文化、そして人々の暮らしにも思いを巡らせていただければと思います。

ぜひ麻布台ヒルズで、アンデスのアルパカたちに会いに来てください。

写真展「アルパカ ペルー・アンデスに生きる」公式ページ


松井章 写真展「アルパカ ~ペルー・アンデスに生きる~」
会期:2026年8月1日(土)~8月16日(日)
時間:11:00~20:00
会場:大垣書店 麻布台ヒルズ店 Ehon GALLERY
麻布台ヒルズ タワープラザ4F

主催:ペルー料理 ALDO
協力:株式会社大垣書店・森ビル株式会社
後援:駐日ペルー共和国大使館・日本ペルー協会
協賛:株式会社明治
企画:松井章写真事務所

★詳しくは、下記リンクから、公式ページをご覧ください。

★大垣書店 公式ページはこちら

●大垣書店 麻布台ヒルズ店:写真展「アルパカ」公式ページ

ペルー料理レストランALDO


日本でペルー料理といえば、ペルー料理ALDOは高品質なペルー料理を食べられることで有名です。

ぜひこのレストランにもお立ち寄りください。

●ペルー料理ALDO 麻布台ヒルズ店
https://aldoperu.com/

ペルー料理はどう生まれたのか? 世界の食文化が交わった「美食の国」の成り立ち

関連記事

  1. ペルーとイグアスの滝を結ぶ直行便:ラ・タム航空

    2017.06.10
  2. アートフォト・ギャラリー「1x」選出作品:アンデスの恵み

    2022.08.30
  3. アタカマ砂漠の花:ロシータ・デル・カンポ(アカネ科)

    2018.12.24
  4. 北極クルーズ⑩:トナカイの暮らす雪原

    2022.09.11
  5. アルティプラーノとは —アルパカと人が生きるアンデス高原

    2026.02.22
  6. 本場の「チョリソー」の味とは?-アルゼンチン&ブラジル-

    2018.06.09

キーワード検索

2026年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

最近の記事

アーカイブ

PAGE TOP