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風景写真家・松井章のブログ

何を見ても何かを思い出す:天山山脈の秀峰ハンテングリ


もう10年近く前の天山山脈の写真を見つけて見入ってしまった。
キルギス・カザフスタン・中国にまたがる天山山脈の秀峰ハンテングリ(7010m)とキルギス人の写真だ。

イニリチェク氷河の奥深くにある氷河へ向かうヘリコプターのフライトを待つある日、仕事の合間に草原でエーデルワイスの写真を撮っていた。そのとき草原に駐機していた軍用ヘリの周りが賑やかになり始めたので、野次馬根性で近寄ると、手招きされてヘリに乗せられた。旧ソ連製と思われる軍用ヘリの内部が面白くて写真を撮っていたら、ドアを閉められてプロペラが回り始めた。「あの、仕事があるんだけど。。。」と英語で言っても伝わるはずがなく、ヘリは飛び立ってしまった。

乗っている遊牧民の子供たちと景色を見ていると、ヘリは軽々とキルギスからカザフスタンに国境を越えて隣村に着陸した。降機すると近くのゲル(移動式住居)に連れていかれて、バター茶をズルズルといただいたものだ。当然のことだが、数千年にわたりこの地に住む遊牧民にとって、草原に引かれた見えない国境線はほとんど意味のないものなのだろう。言葉が通じないが、同じモンゴル系の顔立ちの遊牧民とはすぐに打ち解けたものだ。

この10年で中央アジアは随分変貌しているようで、「シルクロード」の面影を残す文化・民族は急速に姿を消しつつあるのではないだろうか。天山山脈の反対側の新疆ウイグル自治区では、とてつもないウイグル人への迫害が行われている。シリア内戦やロヒンギャ迫害のように、国際社会とマスコミは見て見ぬフリをしているわけだ。同じく迫害される人々として、チベット人の村に行ったこともあるが、人心が荒んでいるような“何か”を感じたものだ。それは遠い土地の話のようだが、実は我々日本人の未来にも関わる「惨事」で、“対岸の火事”ではないかもれしない。


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