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「南極大陸」躍動する生命②:アザラシの楽園

氷の内湾はアザラシの楽園

夏の南極の昼下がり、凪いだ内湾はアザラシの楽園でした。

南極半島の夏、晴天に恵まれると日中の気温は5~10℃くらいに上がります。毛皮をまとうアザラシにとっては、きっと快適な陽気と言えるでしょう。

静かな湾では、中型の2種類のアザラシが数十頭もあちこちで昼寝をしています

ウェッデルアザラシとカニクイアザラシです。

ウェッデルアザラシ


ウェッデルアザラシは生息域が広く南緯78度の南の果てから、フォークランド諸島やニュージーランドにも生息しています。豹柄の紋様とずんぐりとした体躯が特徴です。

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カニクイアザラシ

カニクイアザラシは、名前と異なりカニではなくオキアミを主食としているアザラシです。アザラシの中で最も個体数が多いアザラシです。

水中で器用に昼寝をするアザラシ

太陽が中天に上がる時間、アザラシ達はすでに食事を済ませたのか、氷塊が浮かぶ湾をゴムボートで氷を避けながら進むと、どのアザラシもあちこちの氷の上で昼寝をしています。夏は、海中のプランクトンも増えるため、きっと満腹なのでしょう。

無風で凪いだ湾は静けさに包まれていますが、氷塊の向こうから、徐々に盛大ないびきが聞こえてきました。静かな湾で、そのいびきはまるで響き渡るように聞こえてきます。

氷上にアザラシはいないので水面に眼を移すと、いびきをかくアザラシを見つけました。アザラシは、水中で顔だけ出して眠っていたのです。
いびきのリズムに合わせるように体は上下しているので、いびきをしたままゴボゴボと顔は水中に沈んでしまいます。
それでもアザラシは一向に起きる気配はなく、海面で器用に眠っていました。
気付けば私たちのボートは、アザラシの間近にまで近づいていました

周囲はどこまでも緊張感の無い平和な空気に満ちていました。

弱肉強食と生存競争という野生の掟で生きる野生動物は、ある種の緊張感の中で生きています。しかし、ときに無条件に緊張感を解いて休息する時間はあるのでしょう。
生物の掟を忘れて、地球がもたらす福音を享受する、そんな特別な瞬間をアザラシの湾で垣間見たようでした。

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