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風景写真家・松井章のブログ

アルパカの毛色と模様の世界|白だけではない多彩な個性

アルパカの16色の毛色


アルパカというと、白い毛並みを思い浮かべる人が多いかもしれません。
けれど、実際にアンデス高原でアルパカの群れを見ていると、実にさまざまな毛色の個体がいることに気づきます。白、ベージュ、茶、こげ茶、黒、灰色。さらに、その中間のような微妙な色合いまで含めると、一頭ごとに印象は大きく異なり、群れ全体がとても豊かな表情を見せてくれます。

この毛色の多様さは、アルパカの大きな魅力のひとつです。

アルパカの毛色には、実際に登録されている代表的な16色があります。AOA(Alpaca Owners Association)は、アルパカの色判定の基準としてこれらを分類しています。
※AOAは、アメリカにある世界最大級のアルパカ産業団体です。

アルパカの毛色リスト(16色)
【白系】
・White(白)

【ベージュ系】
・Beige(ベージュ)

【フォーン系】
・Light Fawn(ライトフォーン)
・Medium Fawn(ミディアムフォーン)
・Dark Fawn(ダークフォーン)

【ブラウン系】
・Light Brown(ライトブラウン)
・Medium Brown(ミディアムブラウン)
・Dark Brown(ダークブラウン)

【ブラック系】
・Bay Black(ベイブラック)
・True Black(トゥルーブラック)

【グレー系】
・Light Silver Grey(ライトシルバーグレー)
・Medium Silver Grey(ミディアムシルバーグレー)
・Dark Silver Grey(ダークシルバーグレー)
・Light Rose Grey(ライトローズグレー)
・Medium Rose Grey(ミディアムローズグレー)
・Dark Rose Grey(ダークローズグレー)

同じ群れの中にいても、毛色が違うだけで、それぞれの個体の個性が際立って見えます。顔立ちやしぐさに加え、毛の色そのものが「そのアルパカらしさ」をつくっているようにも感じられます。

ペルーのアルパカは、白毛が主流


アルパカのイメージが「白」で広く定着しているのには、それなりの理由があります。アルパカが多く飼育されるアンデス山脈の西側には、太平洋に面したペルーがあります。ペルーは港を持つことから、アルパカ繊維を海外へ広く輸出してきました。国際市場では白い繊維が好まれる傾向があったため、ペルーでは品種改良が進み、白毛のアルパカが群れの大半を占めるようになりました。人間の需要に合わせて、アルパカもまた変化してきたのです。

一方で、近年はさまざまな色の毛への需要も高まっており、ペルーでも少しずつ多様な毛色のアルパカが見直されているそうです。

ボリビアのアルパカは、いろいろな色や模様がある


それに対して、アンデス山脈の内陸国であるボリビアでは、港を持たないこともあり、アルパカの毛は長く輸出中心ではありませんでした。そのこともあって、ボリビアでは現在でも多様な毛色のアルパカを見ることができます。
さらにボリビアでは、アルパカは毛色だけでなく、毛の模様によっても細かく分類されているそうです。

山岳民族であるアイマラやケチュアの人々は、アルパカそれぞれが持つ毛色や模様という天然の個性を、暮らしの中で巧みに生かしてきました。

アンデス山脈の土地の色が凝縮された、アルパカ本来の色


アンデスの風景の中で見るアルパカの毛色は、背景との関係によっても印象が変わります。朝夕のやわらかな光の中では、薄い色の毛は静かに光を受け、黒や濃い茶色の個体は力強い輪郭を浮かび上がらせます。乾いた草原、赤茶けた大地、遠くの雪山、そして深い青空。その中に立つアルパカたちは、まるで土地そのものの色を映し取っているようにも見えます。
毛色の違いは、見た目の美しさだけではありません。

アルパカは古くからアンデスの人々の暮らしと深く結びついてきた存在であり、その毛は大切な繊維でもあります。自然のままの色を生かした毛は、染めなくても豊かな表現ができるため、毛色の多様さは実用面でも大きな価値を持ってきました。白い毛が重宝されることもありますが、茶やグレー、黒といった自然色ならではの魅力もまた、アンデスの暮らしの中で受け継がれてきたのです。

写真を撮っていると、私はつい顔つきや表情に目を奪われがちです。
けれど、あらためて群れを見渡してみると、毛色の違いそのものが、アルパカという動物の奥行きを教えてくれるように思います。そこには、人とともに生きてきた長い時間と、アンデスという土地に育まれてきた多様さが、静かにあらわれています。

松井章 写真展「アルパカ ~アンデスの民と生きる~」

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