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「シチリアの真珠」タオルミナの魅力とは
シチリア島のタオルミナで何日間か過ごした体験は、今でも胸の奥に静かに響いている。
イタリアらしい洗練さと、シチリア的な朴訥さ。その二つが絶妙に溶け合い、ここだけの風景を形作っているのだろう。
地中海を見下ろす丘の上に広がるタオルミナの起源は、紀元前4世紀のギリシア時代にさかのぼります。ギリシア人はこの町の一番展望の良い場所に劇場を作りました。ローマ帝国がまだイタリア半島を統一する前の時代です。
その後、この小さな町は、カルタゴ、ギリシア、ローマ帝国、ビザンツ帝国、アラブ、そしてノルマン人と、様々な文明や民族が往来してきました。歴史の断面図のように様々な文化の層が折り重なりあって、やがて「シチリアの真珠」と言われる町となりました。
背後にそびえるエトナ山は、そんな人間の歴史の営みを悠然と見下ろしてきたのでしょう。
何千年を経ても変わらずに佇むその姿は、移ろう町の歴史と静かな対比をなし、互いを引き立てているようです。
夏の地中海は、キラキラと輝く美しい季節です。