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印刷所にて

この数カ月、写真のセレクトや構成、文章の調整を重ねながら、少しずつ形になってきた写真集『アルパカ』。
今回は、その写真たちが「データ」から「本」へと変わっていく現場に立ち会いました。
企画段階から写真集『アルパカ』の構成に携わってくれているアートディレクター・三村漢さん(niwanoniwa)と、印刷段階で色調整を担当しているプリンティングディレクター・鈴木利行さんとともに、長野市にある印刷所を訪れ、2日間にわたって印刷に立ち会いました。
印刷所で感じた「本になる」実感

印刷機はとても巨大で、長さは15メートルほどあるでしょうか。
稼働が始まると、機械の各部が震えるように動き出し、紙の上に次々と写真が刷られていきます。

刷り上がった写真には、二人のディレクターが最終的な調整を加え、さらに刷り直していきます。
そうした手間のかかる工程を重ねることで、写真は少しずつ研ぎ澄まされ、アンデス独特の空気感が織り込まれていくようでした。

アルパカの毛並みや眼差し、強烈に照りつける太陽の光、深く抜けるような青い空、そして朝夕の極寒や静寂など。画面上で見る写真とは異なる、確かな質感をもって紙の上に立ち上がってきます。
この写真集では、アルパカだけでなく、彼らが生きる土地、つまりアンデスの風土の中で生きる存在としてのアルパカを感じてもらえる一冊にしたいと思っています。
わずかな差異でも写真集全体の印象は大きく変わるため、印刷は単なる工程ではなく、作品の仕上がりを左右する最も重要な瞬間のひとつと言えるでしょう。
印刷所で紙の上に並んだ写真を見ながら、その方向性が少しずつ形になってきたことを実感しました。
一冊の写真集は、多くの人の手を通って生まれる

写真を撮ったのは私とはいえ、写真集は一人で作るものではなく、多くの人が関わりながら進んでいくものだと強く感じました。
構成を考え、デザインを組み、細かな色や描写を調整し、印刷し、製本して、ようやく一冊の本になります。
紙に刷られていく写真を目の前で見ながら、写真集とは、多くの人の技術と感覚が結集した、ひとつの表現なのだと改めて感じています。
完成が近づいてきた今、少しほっとする気持ちと、いよいよ読者の手に渡るのだという緊張が、同時にあります。
会場で、この一冊を手に取っていただけたら嬉しいです

写真集『アルパカ ―アンデスの民と生きる―』は、写真展の初日である4月17日に販売を開始します。
会場でも手に取りご覧いただけます。
本書には、アルパカたちの暮らしに加え、アンデス山脈の風景や高地に生きる人々の姿も織り交ぜました。
ページをめくることで、写真展で表現しようとしているアルパカと人がともに生きる世界を、
写真集からは、より深く感じていただけると思います。
画面では伝わりきらない紙や製本の質感や、ページをめくる流れの中で立ち上がるアンデスの空気も、ぜひ実際に手に取って味わっていただけたら嬉しいです。

写真展「アルパカ ~アンデスの民と生きる~」は、
2026年4月17日(金)〜23日(木)、富士フォトギャラリー銀座にて開催します。
詳しくは下記リンクをご覧ください。



























